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2008年10月23日

タバコ

ゆら〜りと薄紫色の煙を漂わせその隙間からぼんやりと向こうを眺める。そしてその先にはたいてい自分の好きなものがある。それは好きな人だったり、冗談だったり、風景だったり、歌だったり、漫画だったり、ゲームだったりとあらゆるお気に入りの日常がある。

そんな時間を長い間過ごしてきた僕にとってはタバコを止めることは自分の体の一部を切り離すような、大げさではなく長い間一緒に過ごしてきた恋人と別れるような感覚だった。無意識に、ふと手を伸ばせばいつもそこにあるはずの何かが突然消え失せたような生活が始まった。

人間の吸うという原始的な欲求を、くわえタバコが満たしてくれていたせいなのだろうか。その何かが唇に残る感覚などはとても心の深い部分に残っている気がする。止めて3年経った現在もふと吸ってみたいと思うときがある。その欲求はすぐ消えていく気まぐれのようなものだけど、確実にまだ心のどこかに残っていて忘れないでおくれとささやいている。

いずれ年老いて死を迎えるときに再びタバコを吸い始めようと思っている。ぽかぽかと日の当たる縁側で、長いキセルから煙を昇らせ、その煙の隙間からかつてのようにぼんやりと好きな対象を眺めたい。その時その先に見える物は何だろう。今はその時が来るまでの長い長い禁煙生活なのかもしれない。

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